宇宙に願いを
「ありえないな」
「だから ただの昔話だ」
「だとしても…」
「よぉ お前ら 痴話喧嘩か?」
「ちょっとロックオン! 二人の目が怖いよ…」
「何でもありません くだらない話です」
「違う」
「違わない」
「くだらなくは無い」
「なら 興味が無い」
「……」
「ふ…二人とも 何を話していたか聞いてもいいかい?」
「…ベガとアルタイル」
「そういや そんな名前の星があったなぁ」
「ただの恒星だ そんなものがたった1日で何光年もの距離を移動されてたまるか」
「…え?」
「ベガとアルタイルは年に1度だけ会えると聞いた」
「どこからの情報だ 刹那?」
「潜伏先の隣人だ」
「あ もしかして七夕のことかい?」
「あぁ」
「知ってるのかアレルヤ」
「ちょっと気になって調べてみたんだけど
日本に昔から伝わってるお話だね」
「それと恒星に何の関係があると」
「夢がないねぇ ティエリアは」
「けっこうです」
「はは…ちょっと長い話だからやめておくけど
簡単に言えばベガとアルタイルっていうのは日本で言う
織姫と彦星で その二人が年に1度だけ天の川を越えて会えるっていう
そんな話ですよ」
「宇宙に川など存在しない」
「そうだね たしかに宇宙にいたら見えないけど」
「地上からの星はきれいだからな」
「地上は…」
「嫌いなのは知ってるよ」
「それでも」
「刹那?」
「見たかった」
「天の川を?」
「…それと 星が出会うところ」
「刹那…たとえ話であって 本当に近づくわけでは…」
「冗談だ」
「ハレルヤ 刹那に冗談を言われたよ…」
「星空を眺めたかったのはホントだろ …ティエリアと」
「…あぁ」
「何をっ!」
「物語だけを吹き込まれたんじゃないんだろうさ そうだろ?」
「……」
「っ! どんな理由があろうと俺は地上に行く気は無い
失礼します」
「あ ティエリア…」
「追わないのか 刹那」
「…行く」
「頑張って」
「努力はしてみる」
「まったく 青いよなぁ あいつら」
「ロックオン 知ってたんですか あの話し」
「あぁ まぁ軽くな
それにしても 刹那も意外とロマンチストなんだな
正直驚いた」
「年に1度会える恋人たちを見たいなんてね」
「ま ホントはティエリアと居たいだけだろうけどな」
「そんな 夢のない言い方…」
「俺たちも見に行くか? 地上に」
「残念だけどミッション以外の勝手な行動は制限されてるからね」
「だよなぁ」
「僕はここからでも十分ですよ 貴方がいれば」
「…ははっ 言ってくれるねぇ」
キミと一緒なら 暗い宇宙でも光は見える
突発過ぎて自分で収集つかなかった…